区切り位置を変える
概要
韻の選択肢を拡げるテクニックとして、“言葉の区切り”を変えながら発掘するのは有効である。
区切り位置(意味上の区切りを何音目に入れるか)をフレーズ間で変えることにより、単調さを避けられる。
このように区切りの変化を付けた韻は“変動分割ライム”と呼ぶ。
逆に同じ位置で区切るものは“固定分割ライム”と呼び、鋳型ライムの一種である。
区切りの無い例
パターン毎に実例を挙げていく。
まずは、区切りの無いパターン。
下記は、いずれもIIUUI
の5音でワンフレーズとして構成されている。
| フレーズ | 区切り | 母音パターン | 母音数 |
|---|---|---|---|
| 引き続き | ひきつづき | IIUUI | 5 |
| 生き写し | いきうつし | IIUUI | 5 |
| 秘密主義 | ひみつしゅぎ | IIUUI(※1) | 5 |
| リーグ首位 | りーぐしゅい | IIUUI(※1) | 5 |
| 七福神 | しちふくじ(ん) | IIUUI(※2) | 5 |
| ビフィズス菌 | びふぃずすき(ん) | IIUUI(※1、※2) | 5 |
| 息苦しい | いきぐるし(い) | IIUUI(※3) | 5 |
区切りの無い言葉は特殊なケース。
発掘力のみに依存するため調達コストが大きく、こうしたフレーズ同士のライミングには特有の価値がある。
区切り位置重複による単調さというデメリット以上に、その希少性から大きな魅力を感じられることが多い。
※1 複合語もワンフレーズ扱いで通用するものは区切り無しとして扱っている
※2 リズム合わせとしては末尾にん
の余る単語途中ライムだが、IIUUI
の母音合わせは成立している
※3 リズム合わせとしては末尾にー
の余る単語途中ライムだが、IIUUI
の母音合わせは成立している
2分割に区切る例
下記もIIUUI
の5音で構成される母音ライムのフレーズ群である。
ただし、区切り位置を1音目、2音目、3音目、4音目と変化させている。
区切りは1箇所のみで、2分割パターンとなっている。
| フレーズ | 区切り | 母音パターン | 母音数 |
|---|---|---|---|
| に胃薬 | に/いぐすり | I/IUUI | 1/4 |
| 道つくり | みち/つくり | II/UUI | 2/3 |
| 満ちる月 | みちる/つき | IIU/UI | 3/2 |
| ひきずる身 | ひきずる/み | IIUU/I | 4/1 |
たとえば次のようなフレーズをペアにした場合、区切り位置が同じため単調さを感じる場合がある。
| フレーズ | 区切り | 母音パターン | 母音数 |
|---|---|---|---|
| 道つくり | みち/つくり | II/UUI | 2/3 |
| 四季うつり | しき/うつり | II/UUI | 2/3 |
| フレーズ | 区切り | 母音パターン | 母音数 |
|---|---|---|---|
| 満ちる月 | みちる/つき | IIU/UI | 3/2 |
| 規律無視 | きりつ/むし | IIU/UI | 3/2 |
ここでの単調さとは音響上の話ではなく、読者がフレーズの構造を認識したときの印象である。
また、読者が(無意識に)先読みする韻は、短時間で実行できる“同じ区切りでのサーチ”になりやすい。
そのため、区切りの変化に意識を払わない韻は、読者の予測範囲内に収まってしまう傾向がある。
3分割に区切る例
2箇所で区切る例としては、たとえば下記のようなパターンが挙げられる。
| フレーズ | 区切り | 母音パターン | 母音数 |
|---|---|---|---|
| 木に結び | き/に/むすび | I/I/UUI | 1/1/3 |
| 日出ずる地 | ひ/いずる/ち | I/IUU/I | 1/3/1 |
| じき来る日 | じき/くる/ひ | II/UU/I | 2/2/1 |
まとめ
区切り位置については以下のようにいえる。
- 同じ位置で区切られたフレーズは、基本的に複数使わないほうがよい
- 区切りの無い言葉は魅力が大きく、複数回であっても積極的に採用してよい
なお“基本的に”と書いたのは、あえて演出上の狙いから鋳型ライムを用いるなど、例外もあるためである。
(文/SIX)
from 韻韻
韻/韻
変更履歴
2016.11.25
- 新規作成
2018.10.16
- 公開用に清書
2018.10.17
- ライムブログにて公開
2019.7.19
- 表記を統一
2023.11.29
- 押韻島地下城への再録にあたり改稿