母音ライムの長さを測る

概要

韻を踏んだ長さの単位として、筆者は“何文字”でなく“何音”という数え方を提唱している。

今回はその発展として、“何母音”という数え方を紹介。
これは“リズム不一致の母音ライム”に対応するための措置である。

以下に3パターンの数え方を挙げて比較する。

文字数を数える

まずは拗音も個別に数える“文字数”のカウント方式。
これは表記に依存した数え方である。

フィーチャーとティーチャーの例で考えてみよう。

ふぃーちゃーという一つ一つの文字を1と数える。
文字数を数える場合は、どちらも6文字。

フレーズ123456
フィーチャーふぃーちゃー
ティーチャーてぃーちゃー

しかし、文字数を数える方法には問題がある。
次のようにフィッシュ切符で韻を踏んだ場合、何文字の韻を踏んだことになるのだろうか?

フレーズ12345
フィッシュフィッシュ
切符切  符 

ひらがな表記に直したとしても、文字数は一致しない。

フレーズ12345
フィッシュふぃっしゅ
切符き っぷ 

音数を数える

次は表記ではなく発音を基準に数える“音数”のカウント方式。
これは字脚だけを数える方法で、和歌においてもポピュラーである。

単位としては1拍や1モーラという呼び方が一般的。(個人的には1音という表現を好んで使っている)

ふぃーちゃーのように数える。
フィーチャーとティーチャーで音数を数える場合は、どちらも4音。

フレーズ1234
フィーチャーふぃーちゃー
ティーチャーてぃーちゃー

下記のようにフィッシュ切符で踏んだ韻にも対応できる。(どちらも3音)

フレーズ123
フィッシュふぃっしゅ
切符きっぷ

しかし、音数を数える方法にも問題がある。
下記のようにコンテンツ骨折で韻を踏んだ場合、何音の韻を踏んだことになるのだろうか?

フレーズ12345
コンテンツこんてんつ
骨折こっせ つ

母音数を数える

ここで、リズム不一致の母音ライム向けに母音の数だけを数える方法を考えてみる。

音数との違いは、リズムの違い(撥音、促音、長音)を無視する点である。
母音のある部分だけを数えるので、フィーチャーであればふぃ(ー)ちゃ(ー)、つまりふぃとちゃの2母音ということになる。

フィーチャーとティーチャーで母音数を数える場合は、どちらも2母音。

フレーズ1-2-
フィーチャーふぃ(ー)ちゃ(ー)
ティーチャーてぃ(ー)ちゃ(ー)

下記のようにフィッシュ切符で踏んだ韻にも対応できる。(どちらも2母音)

フレーズ1-2
フィッシュふぃ(っ)しゅ
切符き(っ)ぷ

下記のようにコンテンツ骨折で踏んだ韻にも対応できる。(どちらも3母音)

フレーズ1-2-3
コンテンツこ(ん)て(ん)つ
骨折こ(っ)せつ

ただし注意事項がある。
この方法の弱点は、母音ライムにしか適用できないことである。
たとえば母音不一致の子音ライムを数える場合には、これを応用して“子音数”を数えるようなアプローチが必要となるだろう。

リズム不一致な母音ライムのカウント例

広範囲をフォーカスし 抱える課題
フォークに絡まった思考回路
もう行き詰まったら
オフサイトミーティング気分で
オープンザウィンドウ
SIX「we go every day」

上記のオフサイトオープンザウィンドウは5母音を一致させた母音ライム。

解説

具体的な目的のひとつは、表記レイヤーでリズム不一致を含み、発音レイヤーでリズムを一致させた韻に対応するため。
(音源における韻としては主要なスタイルのひとつである)

フィッシュと切符の韻では、文字数で数えると5文字と2文字(ひらがな3文字)、音数で数えると3音と3音になる。

コンテンツと骨折の韻では、文字数で数えると5文字と2文字(ひらがな4文字)、音数で数えると5音と4音、母音数で数えると3母音と3母音になる。
合わせた母音に着目すれば、重要な数字はOEUを数えた“3”である。

実際の母音ライムではリズムまで一致させた韻は少なく、部分的であれリズム不一致を含む韻のほうが一般的。
そのため、複数グループの韻の長さを比較する上では“一致させた母音数のカウント”が指標として有効だろう。

なお、母音があっても1母音と数えない例外パターンもある。
これについては別途述べる予定。

(文/SIX)

from 韻韻

誰だって利己的で人目気にして偽り合うよね

変更履歴

2018.1.22

2018.11.6

2018.11.7

2019.7.19

2023.11.29