時間差ライムと時間差再開ライム

概要

今回は韻の配置をテーマに、“時間差ライム”、“時間差再開ライム”を紹介する。

これらは2小節単位のような定型的レイアウトから脱することで、音の反復を印象付ける韻である。
優れた韻の条件の5要素でいえば、“意外性”“演出性”に該当する。

時間差ライム

特にラップにおいて、ライムフレーズは“隣接する小節の同位置”に配されることが多い。(小節の先頭同士や末尾同士など)
これに対し、“第1句が出現してからかなりの小節を隔てて、ようやく第2句が出現する韻”を“時間差ライム”と呼ぶ。(注:以前は“お待たせライム”と呼んでいたが、同じものである)
2小節構成・4小節構成などの定型的な流れに変化を付けるために使用される。

韻には“第2句が登場するまで韻かどうか確定できない”という性質がある。
時間差ライムは、この“確定できない宙吊りの時間”が通常より長引くので、“溜め”の効果を備えている。
隔てる間隔が長ければ長いほど、第1句が隠された伏線の性質を帯びてゆき、伏線回収時の“意外性”をもたらすことができる。

ただし、溜めすぎると第1句の印象が薄れてしまい(忘れられてしまい)、韻であることさえ認識されずに終わってしまうことがある。(不発ライムの一種)
その対策として、第1句には固有名詞や、印象に残りやすい言い回しを用いる手法がある。
音源作品の場合は、第1句の歌い回しに大げさなクセを付けることで、第2句の登場まで記憶に留めるテクニックもある。

時間差再開ライム

通常のライムグループの後に間隔を空けて、付け足しで同じ韻を踏む場合もあり、これは“時間差再開ライム”と呼ぶ。(注:以前は“追い討ちライム”と呼んでいたが、同じものである)
はじめの部分だけでも韻として成立している点が、時間差ライムとは異なる。

また、ライムグループが“完結した”と思わせているところに追撃するので、時間差ライムとは違うタイプの“意外性”をもたらすことが可能。

時間差ライムと同じく、時間差再開ライムも、“溜め”の長さが重要なファクターである。
追撃部分が登場しないまま長時間経過すれば、不発になる可能性は高まる。
ただ、少なくとも先行部分が韻であると認識させた上で追加点を獲りに行くので、“ライムグループが丸ごと不発に終わる”という事態は避けられる。
時間差ライムに比べれば、比較的リスクの低い手法といえるだろう。

例

歌い出す風呂はproduce by 私 舞台ダンスフロア香るデオドラント
充満中ハミングとシャンプーとリンス ハードディスク無しで三分録りする
ユニットヴァース 今日もストレス飛ぶ風味等を出す具合で踊らんと
ヴァイブス覆い隠す湯けむり OK 朝までロックしてゆけ! 無理!
relax time 脱ぎ捨てろユニフォーム 顎から滴る汗がbeautiful
ああ、ちくしょう、やっぱか、とKO 死角にトラックのアッパーカットを受け
セッション中毒 摂氏40℃じゃ許さんbreakで圧迫圧倒
浸かれ存分に that’s easy yo ほらエントランスホールは脱衣所
SIX「お待たせバスタイム」

(文/SIX)

from 韻韻

お待たせライマーズってもう活動しないのかな

変更履歴

2017.1.15

2017.5.24

2018.9.5

2023.12.6