推敲力と即興力
発掘の終着地点
「発掘力と編集力」で紹介した発掘力をとことん推し進めると、どこに行き着くのか。
あるフレーズを元に徹底的に韻を踏み、もう出尽くしたと思われるところから、さらに突き詰める。
すると、やがて最後の1フレーズとも呼べるような、とっておきの言葉をひらめくことがある。
(これを、紅茶用語になぞらえ“ゴールデン・ドリップ”と呼んでいる)
それがいつ出てくるのか、どこで終わりとみなすのか、誰にも分からない。
極端にいえば、ひとつの素材フレーズにこだわって一生踏み続けることも可能。(“パートナーライム”)
ただ、自分の中で“まだこれが残っていたか”と感動を得られるようなフレーズに辿り着いた時、とりあえず一つのゴールとは呼べるだろう。
完成後は判別不能
読者には、どれが最後に発掘されたフレーズかは分からない。
“作者の頭に思い浮かんだ順序”と“歌詞に登場する順序”は一致しないからである。
最後に浮かんだ言葉を、完成作品では冒頭に持ってきているかもしれない。
素材先行型のライミングで、素材をライムグループの末尾に持ってくることもできる。(これは狙いすぎた印象がマイナスに作用しやすいが)
このように順序は班別不能だが、読者が発掘の困難さを測るヒントはある。
たとえばシンクロライムや両面素材ライムなど、成立が運に大きく左右される韻。
こうしたものは長い発掘の果ての成果と考えられる。
ライムジャックと才能
別の作者が踏んだ韻の“片側のフレーズ”を素材として、それに合うよう追加で韻を踏むことがある。
和歌でいう本歌取りにあたるもので、“ライムジャック”と呼ぶ。
動機としてオリジナルへの挑戦心や、敬意の表れといえるだろう。(否定的な文脈で行うライマーもいないとはいえない)
そして、“このお題(素材)でこれ以上うまく踏むのはもう無理だろう”というところからでも、必ず負けないような韻を搾り出すことができる。
経験上、時間さえかければ必ず出せると考えている。
発掘力に限らず編集力も含めた話だが、韻の才能と呼べるものが存在するなら、それは“とことん発掘・推敲し続ける忍耐力”である。
時間をかける者には無限の可能性がある。
時間制限と時間無制限
韻のサブカテゴリには、フリースタイルバトルなど、時間制約の中での即興能力を競うものもある。
フリースタイルは“韻を考える時間が短い”“韻を聴覚(聴き取り)だけで伝達する”という縛りを追加したゲームといえるだろう。
ゲームにより勝利条件が異なるので、“韻とは、時間を幾らかけてでも、最も良いラインを思いついた者が勝者”と言い切ることはできない。
制限時間内で“他の参戦者よりも”相対的に優れた韻を考えるというゲームもあれば、時間無制限で“過去の誰よりも”優れた韻を考えるゲームもある。
(文/SIX)
from 韻韻
ぼくも笹をしっかり反芻しよう
変更履歴
2016.12.26
- 新規作成
2017.8.18
- 全体的に見直し
2018.9.13
- 公開用に清書
2018.9.19
- ライムブログにて公開
2023.11.29
- 押韻島地下城への再録にあたり改稿