時雨

星の光も乏しきこの闇夜
風が揺らす障子戸に網戸
軋む床板は何かの声
手摺り手探り階下の方へ
表に出れば蕭条たる時雨
真っ暗な天 思わず見つめる
ぽたん 木の葉うつ音の尊さ
何処か艶やかさ感じる程さ
ひそめた表情 その内の葛藤
絡まった糸玉解く気も無く
遠き憧れに指が届く一幕も
泡となり消ゆ 世の罪と罰よ
すべて覆い隠す朧月と雨雲
今宵必要なき余所行きの恰好
人と語らうも孤独に藻掻くも
包み込むような趣のある夜

月光が不在のうちに
本日は出かけましょうか
目も眩む舞台照明が隅々照らせば困惑
ねえ どんな会話咲かそう
さだめは巡る春秋
絵の具は白黒二色
そんな空の下 想い逡巡
線路の果ては知らない地
いま決めずに向かっている終着駅
結論もない 勝敗もない
他愛ない空想は浮かんでいき
消えそうな細い線を描く感情
言葉にはうまくできず
形而上学でも現象学でもなく
自嘲は文学的

text / SIX
beat / Charlie Mac “Circumpunct”
original / 菅原孝標女『更級日記』