月夜
一
愚かさを論い轡虫が啼く
償う力もないから蹲るしかなく
振り仰いだ堆き黍の畑が
責め立てるようで唇をまた噛む
世渡りにくたびれた洋服肌着
呼びかけは一方通行の往復はがき
自分に戻ってくる欺瞞や嫉妬で
濡れ衣一着を着回しコーデ
地蔵堂を歩けば少しの月明かり
いつだって口さがない中傷に突き当たり
よろめいている私に be kind
緞帳の夜空へやさしいピンライト
ふつうに暮らしたいだけで かなりの生活苦
だが 背負える限界まで肩に載せ担ぐ
四百字詰め 原稿用紙の束
鍵盤を殴りつける 月光ソナタ
二
迷い込んだラビリンス 稲荷の森
懐中電灯 微かな光を投じれば
遠くなる虫の声と反比例するように
梟が頻りに啼いて居る
草木を見よ 季節が移ろうままに
身を任せ 決して体裁など繕わない
私もいつか あの丘へ上って一花を
咲かせるさと街を見下ろし きっと笑おう
ハンモックで寝ている暇はない 時間をくれ
満足できぬ 己と付き合う ランドオブデッド
人肌に温める冷えたシュラフとケット
主客の転倒した有り様へのフラストレーション
心中ざわつき スタンディングオベーション
そんなとき瞑れ 疑りの目を
草木染め色みたいに地味だってさ
自分なりのベストだけ尽くしゃいいのでしょう
text / SIX
beat / Blue Wednesday “London Fog”