五秒ライム
概要
個人的に五秒ライムとみなす韻の定義と実例を紹介する。
また、そのような韻をあえて採用するときの対策についても述べる。
五秒ライムの定義
“五秒ライム”とは、ある素材で発掘開始し、五秒以内で思い付くような安直な韻。
優れた韻の条件における“独創性”に抵触する、低評価ライムの一種である。
(その他の低評価ライムについては別記事で述べる予定)
考察
多くは頻出の韻
韻に時間をかけない者は、深く考えずにこのような韻を採用しがちである。
その結果として、五秒ライムの多くは使い古され陳腐化している。
よほど創造性のある繋ぎを発明しない限り、使用は避けるべきだろう。
観測者によって評価が分かれる
またありきたりな韻の回避でも述べたが、韻の発掘力は個人差が大きい。
ある韻をどの程度の発掘で思い付けるのか、所要時間は人それぞれである。
したがって正確には、五秒ライムとは“自分の発掘力において五秒で思い付く韻”であり、主観的な分類といえる。
誰にとっても五秒ライムであるような韻は存在しないと思ってよい。
他人の韻に対してこの用語を用いる場合は注意が必要である。
五秒ライムの傾向
同音ライムや高一致率ライムが多く含まれる。
その要因としては、“口ずさみサーチ”(素材フレーズを繰り返し口にして韻を探す方法)を行ったときに上位でヒットする点が挙げられるだろう。
口ずさみサーチは響きの近いものほどすぐに気付けるため、母音ライムより同音ライムのほうが発見は容易である。
具体例
- アクセント/悪戦苦闘/あくせく
- アンサンブル/ガンガン振る
- アンダーライン/半端無い
- イッツオーライ/必要無い
- インフルエンザ/韻踏む~
- エンドレス/言語~/限度~
- オリジナル/取り締まる
- コロシアム/殺し合う
- コントローラー/言語道断
- コントロール/本当上手
- センチメンタル/センチメートル
- タイタニック/大パニック/ダイナミック
- バイブレーション/だいぶ燃焼/~ねえっしょ
- パスダマイク/カスタマイズ
- パンチライン/段違い/感じない
- ヒストリー/椅子取り
- ピンポイント/韻と韻の/~のヒント
- フォーメーション/証明書/表明しよう
- フリースタイル/クリスタル
- マイク/ライム/だいぶ
- マテリアル/糧になる
- ご馳走/(ほっぺたが)落ちそう
- 缶スプレー/ダンスプレイ
- 君/耳
- 時期尚早/意気投合/意気揚々
- 新時代/信じたい
- 熱帯雨林/絶対無理
- 20XX/依然~
上記はSIXが考える(自分の避けたい)五秒ライムであるため、他の作者が使っていても特に干渉しない。
各自なりの判断基準があればよく、ライマー間でルールを擦り合わせる必要はない。
ただ、“自分が踏もうとしているのは既出・頻出の韻ではないか?”と疑う姿勢を持つことは大切だと考えている。
具体例(同音ライムの場合)
- サマー/様
- アンダー/あ(る)んだ/編んだ
- アンチ/安置
- アンテナ/安定
- アンド/安堵
- イージー/維持
- オートマチック/応答待ち/おっと~
- オール/折る/を売る
- クライ/暗い/食らい
- クラシック/暮らし/~らしく
- サイレント/サイレンと
- シーン/子音/死因
- ショー/しよう
- ショータイム/招待
- スーパースター/吸うパスタ
- ストーリー/通り
- スメル/住める
- スルー/~する
- ソウル/~そう
- タイム/~たい
- タイムリー/絶対無理
- ダイブ/だいぶ
- ダイヤモンド/~問答
- デンジャー/~で(る)んじゃ
- トライ/到来
- ナイト/~ないと/な意図
- ネット/熱湯
- ハック/四苦八苦/吐く
- ハンド/反動
- フリー/振り/不利
- ブラック/部落
- マイ/毎~
- マジック/まじ~
- マニア/間に合わ~
- メッセージ/目線/名声
- ユーノウ/有能
- ライマー/くらい、まあ
- リロード/理論
- ロード/労働
- ワーク/枠/沸く
- あいにく/会いに行く
- 朝まで/a summer day
- 有るか無いか/歩かないか
- 押韻/多い
- 車で/来るまで
- 玄人素人/苦労と知ろうと/黒と白
- 個性/越せ
- 思想/~しそう
- 指定/~してえ
- 死体/~したい
- 時計/~とけ
- 太陽/~たいよ
- 通過/つーか
- 内容/~ないよ
- 理想/~りそう
- 立ち話/立場なし
- ~azy/~age/意地/維持
- ~ight/~ite/糸/意図
- ~t you/~中
- 1/位置/一致
ここでの同音ライムは、広義の同音ライム(母音子音ライム)を指している。
同音ライムや母音子音ライムの場合、扱う難易度が高いこともあり、部分的とはいえ五秒ライムに頼ってしまうケースが多いようだ。
回避例(新しいフレーズで踏む)
これが僕らの罹ったinfluenza
心躍らせるinstrumental
SIX「B.B.弾」
五秒ライムを避け、同じ素材から違うライムフレーズを発掘する方法。
| フレーズ1 | フレーズ2 |
|---|---|
| インフルエンザ | 韻踏む~ |
| フレーズ1 | フレーズ2 |
|---|---|
| influenza | instrumental |
回避例(継ぎ足しで踏む)
手短にミートソースパスタでも食って
勝負に身賭そう superstar
SIX「フリークライミング」
五秒ライムを部分的に使用するが、音数を延長して独創性を付加する方法。
| フレーズ1 | フレーズ2 |
|---|---|
| スーパースター | 吸うパスタ |
| フレーズ1 | フレーズ2 |
|---|---|
| 身賭そうsuperstar | ミートソースパスタ |
この例では継ぎ足した結果、素材フレーズと生成フレーズが逆転している。
(スーパースター
の片面素材ライムから、ミートソースパスタ
の片面素材ライムに変わっている)
回避例(新しいフレーズで踏む+継ぎ足しで踏む)
戦い抜くぜ コロシアム駄洒落で力尽きても
この死はムダじゃねえ
Joker「Dis Play」(SIX)
| フレーズ1 | フレーズ2 |
|---|---|
| コロシアム | 殺し合う |
| フレーズ1 | フレーズ2 |
|---|---|
| コロシアム駄洒落 | この死はムダじゃねえ |
五秒ライムコロシアム
殺し合う
から別フレーズコロシアム
この死はム
に置き換えた上で、第2句の単語途中ライムを解決するために後ろを継ぎ足している。
回避例(新しい繋ぎ方をする)
いきなり缶スプレー
丸腰な僕あたふたダンスプレイ
智裕「ブラックダイヤモンド」
| フレーズ1 | フレーズ2 |
|---|---|
| 缶スプレー | ダンスプレイ |
缶スプレー
ダンスプレイ
は“グラフィティ&ブレイクダンス”(=HIPHOPの構成要素)として並列する用例をよく目にする。
いっぽうこの例では“殺虫剤&もがく虫”と解釈した点に独創性が見られ、“グラフィティ&ブレイクダンス”としての用例を知っている読者には特に驚きをもたらす。
元々ライミングは、フレーズ間のミッシングリンクを探し、文章の形に繫げるゲームといえる。
この回避方法では“ミッシングリンクの別解探し”になり、高度なスキルが求められる。
それだけに、成功すれば大きな感動をもたらすだろう。
(文/SIX)
from 韻韻
五秒韻っていうとゴオウインに聞き間違えられやすいから気を付けてね
変更履歴
2017.6.7
- 新規作成
2017.6.21
- 具体例を追加
2018.9.26
- 公開用に清書
2018.10.3
- ライムブログにて公開
2023.11.29
- 押韻島地下城への再録にあたり改稿