ありきたりな韻の回避
前提
優れた韻の条件において“独創性”を挙げた通り、韻は原則として、他の作者が使ったものと被らないように発掘・編集すべきである。
しかし、既出かどうかは“自分の知識や観測範囲内”でしかチェックできない。
具体的にどのような対策が可能だろうか。
頻出避けのヒント
既出の韻を避ける方法はある。
韻に慣れてくれば、次第に“自分がその韻を思い付くまでに要した時間”をヒントとして“その韻の発掘難易度”を推測できるようになる。
これは推敲力と即興力で述べた“発掘の困難さによってかかった時間を測る”という話の裏返しといえるだろう。
かかった時間から発掘の困難さを測るアプローチである。
「この素材から発掘開始して自分が数秒で思い付いたということは、他人もすぐに辿り着きそうだな」という勘が働く。
これは“自分の踏もうとしている韻”“踏んだ韻”を客観的に評価する力だ。
そこを避ける癖が身に付くと、既出の韻を選んでしまうことは減らせる。
ただし、必然的に、より多くの推敲時間がかかるようになるだろう。
なお上記で触れたような、数秒で簡単に思い付く韻を筆者は“五秒ライム”と呼び、避けるようにしている。
(これについては別記事であらためて述べる予定)
発掘力の個人差
付け加えると、作者によって発掘力は異なっている。
だから厳密には“自分がすぐに思い付いた韻=他人もすぐに思い付ける韻”という公式は成立しない。
時間を掛けて見つけたとっておきの韻が、他人にとってはすぐに思い付ける韻かもしれない。
上述したような頻出ライム回避の方法は、あくまで基本姿勢として参考程度に考えるべきである。
素材選びのヒント
韻の発掘工程におけるもう一つの重要なスキルは、素材ごとのポテンシャルを見極める力である。
韻に慣れれば、“その母音や子音に縛ったままでどこまで進めるか”(何回踏めるか)の判断が、素材を選ぶ時点で行えるようになる。
候補として浮かんだ素材の数だけ、道が枝分かれしているイメージを思い浮かべてほしい。
ルート選択の頼りになるのは、“この素材が踏みやすい母音/子音パターンであるか”という、経験から培った感覚。
換言すれば、そのパターンに属する言葉が世界にどれくらい存在するか、という多寡を推測する力である。
ルーティングの予測不可能性
このようなルート選びは将棋に近い感覚で、慣れないうちは数手先まで見通すことが難しい。
ある程度は運に左右されるともいえるだろう。
ある母音で進められそうだと判断しても、進んだ先でいい結果が得られなければ結果的に引き返すこともある。(行き止まりのイメージ)
韻を考える作業はこの連続である。
したがって直感が冴えている者か、もしくは試行回数が多い者ほど優れた結果を残せるだろう。
(文/SIX)
from 韻韻
ありきたりなマスコットキャラクターの回避についても教えて
変更履歴
2016.12.27
- 新規作成
2017.6.27
- 全体的に見直し
2018.9.3
- 公開用に清書
- “頻出避けのセンス”“素材選びのセンス”を統合
2018.9.26
- ライムブログにて公開
2023.11.29
- 押韻島地下城への再録にあたり改稿