韻のパッチワーク

概要

前回の記事固定配置と自由配置では小節内における韻の配置方式について述べた。
その発展として、今回は複数のライムグループの組み合わせ方を考察する。

2種パッチワークの例

下記の例文を分析。

「ラップださい雑魚に8mileは遠すぎる」
「えっとお前はどうする気」って? 勝つまでやるぞ
奴ら全員圧倒し 血相を変えた様子見る
ネットライマーのスキルで 約何千ヤード
SIX「八マイルは遠すぎる」

この部分は、2種類の母音ライムで構成されている。

歌詞に登場する順序で、AとBに分けて記載すると以下のようになる。
(この例は一部、母音不一致のフレーズを含んでいる)

Aが4つ、Bが4つ、合計8つのライムフレーズに分解できる。

ところで、これら2種類の韻の登場順序は、“A B B A”“A B B A”という反復構造を持っている。
したがって第1句および第2句を、それぞれ“A B B A”とする、より長い韻のワンペアと見ることもできる。

このように、ショートライムを繋ぎ合わせてロングライムのように見せることが可能。

また上記の例において特徴的な点は、これ以降の小節において、B「EOAIAOUI」の韻だけを継続していくところである。

この構成により、AとBは常にセットではなくなるため、それぞれ独立したパートであるというイメージを示すことができる。
同じBでも小節に応じて見せ方が変わってくるので、連打でありながら変化をつけやすい。

その他のバリエーション

上記の例では“ABBA ABBA”というパターンを示したが、もっとシンプルに“AB AB”のような構造も有効である。
また、変則的に“AB AB A AB AB B AB AB”といった崩し方を取り入れることで面白さを生み出せる。

その他、“ABC ABC”のように3種類以上のライムグループを組み合わせることもある。

応用的なパッチワークの例

下記は、“AB AB AA BB”の例である。

何かを期待 新たに懲りず あちらこちら今は 大都市部
頭文字はB 錆びた都市街 まだ先を見ぬ パラサイトイヴ
Joker feat.刀+「韻フルエンザ3」(Black_Candy.)

登場順にAとBで色分けすると以下の通り。

後半において、AAあるいはBBという“繋ぎ無しの連続した韻”があらわれるところに変化の面白さがある。

(文/SIX)

from 韻韻

“A B B A”という構造にABBAへのリスペクトが隠れていたのか…

変更履歴

2017.8.3

2017.8.8

2018.11.26

2018.12.5

2019.7.19

2023.11.29