ありきたりなフレーズの是非

概要

ライミングの頻出語を素材フレーズに用いることが、韻の低評価に繋がるかどうかを考察する。

考察

ライムグループの一部に使い古された言葉を含んだ韻は、低評価になるのだろうか。
(以下、このような韻を“頻出語ライム”と呼ぶ)

五秒ライムとの違い

五秒ライムは下記のように両側のフレーズがいずれも使い古された言葉である。

フレーズ1フレーズ2
使い古された言葉使い古された言葉

頻出語ライムにはそのような五秒ライムも含まれるが、その他に“独創的な言葉による五秒ライムの別解”というパターンを含んでいる。

フレーズ1フレーズ2
使い古された言葉斬新な言葉
斬新な言葉使い古された言葉

これは“別解ライム”の一種である。

なお別解ライムには、このような“頻出語への別解”の他に、ライムジャックによる別解などがある。
ライムジャックについては推敲力と即興力を参照。

各パターンにおける低評価の回避

整理すると、頻出語ライムには下記の3パターンがある。

フレーズ1フレーズ2備考
使い古された言葉使い古された言葉五秒ライム
使い古された言葉斬新な言葉別解ライム
斬新な言葉使い古された言葉別解ライム

両側のフレーズが頻出の組み合わせとなっている五秒ライムについて。

これは、以前の記事五秒ライムで述べた通り、“新しい繋ぎ方をする”という手法が有効。
フレーズとフレーズの新たな関係性を提示できれば独自性を出せる。
発掘力を封印した状況で、編集力のみによって差別化を図る試み。
(この部分を競うゲームが“繋ぎグランプリ”である)

続いて、片側のフレーズが頻出語となっている別解ライムについて。

こちらは同記事で述べた“新しいフレーズで踏む”“継ぎ足しで踏む”という手法。
良質なフレーズを用意できれば独自性を出せる。
発掘力をさらに伸ばすか、編集力とのミックスによって差別化を図る試み。
(この部分を競うゲームが“別解グランプリ”である)

よって、頻出語ライムの各パターンには凡庸さの回避方法が存在し、頻出語ライムが必ずしも低評価に結び付くとはいえない。

まとめ

しかしながら、“新しい繋ぎ方をする”ためには高い編集力(ときにはひらめきや運に近いレベルのもの)が求められる。
また、“新しいフレーズで踏む”“継ぎ足しで踏む”という手法も、頻出語である以上、他の作者と被るリスクが高い。

以上から、結論としては次のようにいえる。

余談:別解ライムのレイアウト2種

同じ別解ライムでも下記の2パターンでは印象が異なる。

フレーズ1フレーズ2
使い古された言葉斬新な言葉
斬新な言葉使い古された言葉

前者は、先に素材(お題)として頻出語を提示した上で、別解を後出しする方法である。

その素材フレーズの先例を知っている読者は、“頻出の踏み方”(五秒ライム)を回避できるのか――という興味や期待をもってフレーズ2を迎えることになる。
そのため、ここで両面素材ライムやナチュラルライムなどの高度な別解を出せたなら期待に応えることができ、高評価に繋がるだろう。
読者によっては、フレーズ1が登場した段階で“退屈な韻の予感”を感じることがある。
そのように期待値が下がっている状態でフレーズ2を提示すれば、意外性が生まれ、逆に印象深くなるともいえる。
これは下げて上げる“不意打ちライム”の一種である。

また後者は、先に新しいフレーズを提示してから、素材(お題)を後出しする方法である。

フレーズ1の時点では別解ライムと気付かれない場合が多い。
そして素材フレーズの先例を知っている読者にとっては、フレーズ2に至り“別解ライムだったのか”という意外性をもたらす。
ただし、2フレーズ構成の第2句(あるいは3フレーズ以上連打した末尾)に頻出語を配すると、既視感がラストのインパクトを減じる恐れもある。

ライムフレーズの選定後に、前者と後者のどちらのレイアウトがより効果的かを比較判断するよう心懸けるとよい。

補足:別解グランプリ

別解グランプリでは、ありきたりな素材フレーズを“お題”とし、どのような独創的なフレーズが発掘できるかを競う。
素材がありきたりであればあるほど、過去に多くの作者が発掘に挑んでおり、掘り尽くされたフレーズといえる。
だからこそ逆に、発掘力の底力を測る面白さがあるだろう。

(文/SIX)

from 韻韻

今回はぺーたの意見をきっかけに書かれたコラムだよ 謝謝

変更履歴

2017.10.6

2018.10.2

2018.10.10

2023.11.29